Notes
AIで幸せになった人はいない

本業ではAIの恩恵を受けている。作れることと、作ったものに価値があることは別です。幸せになった人には、まだ会っていない。
本業はプロダクトのエンジニアです。AIの恩恵は、かなり受けています。半日かかっていた調査が、昼前に終わる。実装も速い。これは明確な恩恵として実感するし、ここを否定する気はありません。
ただし、作れることと、作ったものに価値があることは別です。問題はそこです。
なまじ早く形になるから、中身を確かめる前に外へ出ていく。ゴミの大量生産である。
2026年9月、ASODriftがストアの数字をまとめていました。Appfiguresの集計では、2026年第1四半期の新規公開が、App StoreとGoogle Playを合わせて前年比60%増。iOSだけでは80%増。4月は合わせて104%増です。ダウンロードの伸びは、2025年から2026年前半にかけて低い一桁%にとどまる、とその記事は書いています。
探す人は倍になっていない。並ぶアプリだけが増えている。
https://asodrift.com/blog/how-many-apps-released-2026
インフレも加速している。GPUもメモリも高い。学習も推論も電気を食う。データセンターは機械を冷やすために水を使い、使った水は熱を持って空気へ戻る。その熱が昨今の異常気象に繋がる可能性もあると思っている。持続可能であるとは、現時点では思えない。
AIによるサイバー攻撃も激化している。個人情報の大量流出、不正アクセス、乗っ取り、なんでもござれだ。
雇用の問題もある。レイオフの話は、週替わりで流れてくる。残ったチームでは、人は減ったのにカレンダーは埋まったままで、粗利だけがトークンの請求で薄くなる月がある。速くなった分のコストが別へ引っ越しただけに過ぎない。
ここまでやって、生産性を上げて何がしたいのか。前に「AIによる効率化の先にあるもの」で書いた問いが、また戻ってきます。余白ができてから本質に向き合うのでは、遅い。向き合うべきことは、速くする前からそこにあります。
人間そのものは進化していない。デバイスやテクノロジーの進化に隠れて、進化した気になっているだけだ。極端な話、太陽フレアが一発かまされたら、この生活の基盤は脆く崩れ落ちる。昔の人よりも純粋な自活力が落ちた人間がこれに耐えられるのだろうか。
人の不幸の上に成り立つ幸せは、必ずどこかで自分に返ってくる。「誰もが幸せになれる」は理想論かもしれないが、現時点で少なくとも、AIで幸せになった人には会っていない。